テッチャンはどこの部位？シマチョウとの違いや美味しい食べ方を詳しく紹介

焼肉屋さんで「ホルモン」を注文するとき、メニューに並ぶ「テッチャン」という文字。コリコリとした食感と、噛むほどにあふれる脂の旨味で多くの人々を魅了する人気の部位ですが、「一体どこの部位なの？」「シマチョウとは何が違うの？」と疑問に思ったことはありませんか？実はテッチャンは牛の大腸ある部位で、その美味しさには秘密があります。

この記事では、そんなテッチャンの基本情報から、名前の由来、他のホルモンとの違い、そして家庭でも楽しめる美味しい食べ方まで、わかりやすく解説していきます。テッチャンの魅力を深く知れば、次回の焼肉がもっと楽しくなること間違いなしです。

テッチャンはどこの部位？基本情報を知ろう

焼肉の人気メニューであるテッチャン。まずは、その正体と名前の秘密、そしてよく似た名前のホルモンとの関係性について見ていきましょう。

テッチャンとは？牛の大腸の部分

見た目の特徴は、その名の通り縞（しま）模様が入っていることです。 この縞模様は、腸壁のひだによるもので、独特の食感を生み出しています。牛1頭からわずか1.5kg〜5kgほどしか取れない希少な部位でもあります。

適度な厚みと弾力のある皮（腸壁）の部分と、その内側についている甘くて美味しい脂がテッチャンの魅力。噛めば噛むほど、皮のコリコリとした食感と、脂の濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。 この絶妙なバランスが、多くの焼肉ファンを虜にしているのです。

「テッチャン」の名前の由来

「テッチャン」という特徴的な名前は、どこから来たのでしょうか。そのルーツは朝鮮語にあります。

朝鮮語で大腸を意味する「대창（テチャン）」という言葉が由来とされています。 これが日本に伝わり、「テッチャン」という愛称で親しまれるようになりました。ちなみに、朝鮮語で「テ（대）」は大きい、「チャン（창）」は腸を意味します。

食肉文化において、部位の呼び名は地域や国によって様々ですが、「テッチャン」という呼び名は、その食文化が日本に根付いてきた歴史を感じさせますね。

シマチョウとの違いは？実は同じ部位

焼肉屋さんのメニューで「テッチャン」のほかに「シマチョウ」という名前を見かけることも多いでしょう。「この二つは何が違うの？」と混乱してしまうかもしれませんが、実はテッチャンとシマチョウは呼び方が違うだけで、全く同じ牛の大腸の部位を指しています。

一般的に、関西地方では「テッチャン」、関東地方では「シマチョウ」と呼ばれることが多いようです。 「シマチョウ」という名前は、その見た目の特徴である縞模様に由来しています。

ですから、もし焼肉屋さんで「テッチャンが食べたいのにメニューにない！」という時は、代わりに「シマチョウ」を探してみてください。 呼び名は違えど、あの美味しい食感と旨味を堪能できるはずです。

テッチャンの味や食感の特徴

テッチャンが多くの人に愛される理由は、その独特の味と食感にあります。ここでは、他のホルモンとも比較しながら、テッチャンの持つ魅力的な特徴をさらに詳しく掘り下げていきましょう。

独特の歯ごたえと弾力

テッチャンの最大の魅力の一つは、そのプリプリ、シコシコとした独特の歯ごたえです。 この食感は、大腸の厚い筋肉の部分（皮の部分）から生まれます。

口に入れると、まずは弾力のある噛みごたえを感じ、噛みしめるごとに「クニクニ」「コリコリ」とした心地よい食感が楽しめます。 この食感は、ただ硬いだけでなく、適度な弾力があるため、噛むこと自体が楽しくなるような魅力があります。

焼く際には、この皮の部分をカリッとするまでじっくり焼くと、香ばしさが加わり、内側の脂とのコントラストが一層際立ちます。 焼き加減一つで食感が変わるのも、テッチャンの奥深いところです。

脂の甘みと旨味

テッチャンのもう一つの大きな特徴は、内側についている脂の濃厚な甘みと旨味です。 この脂は、しつこさがなく、上質で甘いのが特徴。噛むとジュワッと口の中に広がり、濃厚なコクを味わうことができます。

新鮮なテッチャンほど、この脂の美味しさは格別で、「ホルモンの王様」と称されることもあります。 焼肉では、この脂が炭火や網の上で焼かれることで適度に落ち、香ばしい煙となってテッチャン自体を燻すことで、さらに深い味わいが生まれます。

もつ鍋にした場合も、この脂がスープに溶け出して、全体の味に深みとコクを与えてくれます。テッチャンの旨味は、この上質な脂があってこそと言えるでしょう。

他のホルモンとの比較

ホルモンには様々な種類がありますが、他の部位と比較することでテッチャンの個性がより明確になります。

例えば、同じ腸の仲間であるマルチョウ（小腸）は、テッチャンよりもさらに脂が多く、とろけるような食感が特徴です。 脂のジューシーさを存分に楽しみたいならマルチョウ、皮の食感と脂の旨味のバランスを楽しみたいならテッチャンがおすすめです。

また、胃の部位であるミノは、より硬めでコリコリとした強い歯ごたえが特徴で、脂は少なめであっさりしています。 このように、それぞれの部位に個性があり、食べ比べてみるのもホルモンの楽しみ方の一つです。

テッチャンの栄養価とカロリー

美味しいだけでなく、栄養面も気になるテッチャン。ここでは、カロリーや含まれる主な栄養素について解説し、ヘルシーに楽しむためのポイントもご紹介します。

気になるカロリーは？

脂がたっぷりのイメージがあるテッチャンですが、そのカロリーは意外にも控えめです。牛の大腸（生）100gあたりのカロリーは、約162kcalとされています。

これは、同量の牛バラ肉（カルビ）が約517kcalであることと比べると、かなり低い数値です。もちろん、脂質が多い部位であることには変わりないので食べ過ぎには注意が必要ですが、赤身肉よりもヘルシーな選択肢となり得ます。

焼肉として網で焼く場合は、余分な脂が落ちるため、さらにカロリーを抑えることができます。 脂の甘みをしっかり味わいたい場合はもつ鍋、香ばしくさっぱりと食べたい場合は焼肉がおすすめです。

含まれる主な栄養素

テッチャンは、ただ美味しいだけでなく、私たちの体に必要な栄養素も含まれています。特に注目したいのが以下の栄養素です。

• タンパク質: 筋肉や皮膚、髪などを作る基礎となる栄養素です。
• ビタミンB群: 特に貧血予防に役立つビタミンB12が豊富に含まれています。 エネルギー代謝を助ける働きもあります。
• ビタミンK: 血液の凝固や骨の健康維持に関わるビタミンです。
• ミネラル（亜鉛など）: 亜鉛は味覚を正常に保ったり、免疫機能を維持したりするのに役立ちます。
• コラーゲン: 脂の部分にはコラーゲンが豊富に含まれており、肌のハリや潤いを保つ効果が期待できます。

ヘルシーに食べるためのポイント

テッチャンをよりヘルシーに楽しむためには、いくつかのポイントがあります。

まず、食べ方を工夫することです。焼肉にする場合は、余分な脂をしっかり落とすように焼きましょう。また、もつ鍋にする際は、野菜をたっぷり入れることで、食物繊維やビタミン、ミネラルをバランス良く摂取できます。キャベツやニラ、ごぼうなどは、もつ鍋との相性も抜群です。

次に、食べる量に気をつけることです。カロリーが比較的低いとはいえ、脂質は多く含まれています。 一度にたくさん食べるのではなく、他の赤身肉や野菜と組み合わせて、適量を味わうようにしましょう。

最後に、付け合わせを工夫することも大切です。キムチやナムルなどの野菜料理を一緒に食べることで、栄養バランスが整い、箸休めにもなります。これらのポイントを意識して、美味しくヘルシーにテッチャンを楽しみましょう。

家庭で美味しく！テッチャンの下処理と調理法

お店で食べるイメージが強いテッチャンですが、実は家庭でも美味しく調理することができます。美味しさを最大限に引き出すための下処理の方法から、おすすめの調理法まで詳しくご紹介します。

臭みを取るための下処理方法

ホルモンを家庭で調理する際に最も重要なのが、丁寧な下処理です。 これを怠ると、独特の臭みが残ってしまい、美味しさが半減してしまいます。スーパーなどで販売されているボイル済みのテッチャンでも、再度下処理をすることで、より美味しく仕上がります。

基本的な下処理の手順

1. 洗浄: まずは流水でテッチャンをよく洗います。表面のぬめりや汚れを優しく洗い流しましょう。
2. 塩（または小麦粉）で揉む: ボウルにテッチャンを入れ、たっぷりの塩（または小麦粉）を振りかけて、力強く揉み込みます。 塩や小麦粉が汚れや臭みを吸着してくれます。
3. 洗い流す: ぬめりや汚れが出てきたら、水が透明になるまで何度も流水でしっかりと洗い流します。
4. 下茹で（茹でこぼし）: 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、テッチャンを入れて5分〜10分ほど下茹でします。 この工程で、さらに余分な脂と臭みを取り除くことができます。長ネギの青い部分や生姜のスライスを一緒に入れると、より効果的です。
5. 再度洗浄: 茹で上がったらザルにあげ、もう一度流水で表面のアクなどを洗い流して完了です。

おすすめの味付け（タレ、塩）

下処理を終えたテッチャンは、シンプルな味付けでも十分に美味しくいただけます。

• タレ味: 焼肉のタレに漬け込むのが一番手軽で間違いのない美味しさです。醤油ベースの甘辛いタレはもちろん、味噌ダレとの相性も抜群。おろしニンニクや生姜、コチュジャンなどを加えると、より本格的な味わいになります。タレに漬け込むことで味がしっかり染み込み、ご飯が進む一品になります。
• 塩味: 素材の味をシンプルに楽しみたいなら、塩ダレがおすすめです。ごま油、塩、黒胡椒、おろしニンニク、刻みネギなどを混ぜ合わせるだけで、風味豊かな塩ダレが完成します。 レモンを絞ってさっぱりといただくのも良いでしょう。テッチャンの脂の甘さが引き立ちます。

人気のレシピ紹介（焼肉、もつ鍋、炒め物）

下処理済みのテッチャンを使えば、様々な料理に応用できます。

• 焼肉: やはり王道の食べ方です。美味しく焼くコツは、まず皮の面から焼くこと。 皮にこんがりと焼き色がついたらひっくり返し、脂の面はさっと炙る程度に焼くのがポイントです。 脂から焼いてしまうと、旨味成分が流れ出てしまうので注意しましょう。
• もつ鍋: テッチャンの旨味が溶け出したスープは絶品です。 醤油や味噌ベースのスープに、キャベツ、ニラ、もやし、豆腐などをたっぷり入れて煮込みます。〆にはちゃんぽん麺や雑炊を楽しむのが定番です。
• ホルモン炒め（野菜炒め）: テッチャンをキャベツや玉ねぎ、ピーマンなどの野菜と一緒に炒めるだけの簡単レシピ。 味噌や醤油、コチュジャンなどで甘辛く味付けすれば、ご飯のおかずにもお酒のおつまみにもぴったりです。 テッチャンの脂が野菜に絡んで、旨味を余すところなく味わえます。

美味しいテッチャンの選び方と保存方法

せっかくテッチャンを食べるなら、新鮮で美味しいものを選びたいですよね。ここでは、購入する際の選び方のポイントと、正しい保存方法について解説します。

新鮮なテッチャンの見分け方

新鮮なテッチャンを見分けるには、色、ツヤ、臭いの3つのポイントをチェックしましょう。

1. 色とツヤ: 新鮮なテッチャンは、脂の部分がつやのある乳白色で、皮（筋肉）の部分はきれいなピンク色をしています。 時間が経つにつれて黒ずんできたり、透明感がなくなったりするので、鮮やかな色合いのものを選びましょう。 特に、丁寧に下処理された新鮮なものほど、ピンク色がきれいに出ると言われています。
2. ハリと弾力: 見た目にハリがあり、プリプリとしているものが新鮮な証拠です。脂が均一についていて、皮の部分に厚みがあるものが良品とされています。
3. 臭い: 最も重要なのが臭いです。新鮮なものは、ホルモン特有の臭みがほとんどありません。 パックを開けた時に、酸化したようなツンとした臭いや不快な臭いがするものは避けましょう。丁寧な下処理がされているかどうかも、臭いで判断できます。

冷蔵・冷凍での保存期間とコツ

購入したテッチャンをすぐに使わない場合は、適切に保存することが大切です。ホルモンは傷みやすい部位なので、注意が必要です。

• 冷蔵保存: 購入したその日か、遅くとも翌日には使い切るのが理想です。保存する際は、キッチンペーパーで水気をよく拭き取り、空気に触れないようにラップでぴったりと包んでから、密閉容器や保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存します。
• 冷凍保存: 長期保存したい場合は、冷凍がおすすめです。下処理を済ませたテッチャンを使いやすい量に小分けし、水分をしっかり拭き取ります。その後、ラップで包んでから冷凍用の保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫へ。この方法で約1ヶ月ほど保存が可能です。解凍する際は、冷蔵庫でゆっくりと時間をかけて解凍するのが、ドリップ（旨味成分の流出）を抑えるコツです。

通販やスーパーでの購入ポイント

以前は焼肉店でしか食べられないイメージでしたが、最近ではスーパーマーケットや精肉店、オンライン通販でも手軽に購入できるようになりました。

• スーパー・精肉店: 自分の目で見て新鮮さを確認できるのが最大のメリットです。上記で紹介した「新鮮なテッチャンの見分け方」を参考に選びましょう。「ボイル済み」「下処理済み」と書かれた商品を選ぶと、家庭での調理の手間が省けて便利です。
• オンライン通販: ホルモン専門店など、質の高いテッチャンを全国からお取り寄せできるのが魅力です。口コミやレビューを参考に、信頼できるお店を選びましょう。冷凍で届くことがほとんどなので、届いたらすぐに冷凍庫で保存し、解凍方法の指示に従ってください。味付け済みの商品も多く、バーベキューや手軽な夕食に重宝します。

まとめ：テッチャンの部位を理解して美味しく楽しもう

この記事では、焼肉の人気部位「テッチャン」について、どこの部位なのかという基本的な情報から、その魅力、美味しい食べ方までを詳しく解説してきました。

• テッチャンは牛の大腸の部位で、「シマチョウ」と同じものです。
• 名前の由来は、朝鮮語で大腸を意味する「テチャン」からきています。
• プリプリとした独特の食感と、噛むほどに広がる脂の甘みと旨味が最大の魅力です。
• カロリーは意外と控えめで、ビタミンB12などの栄養素も含まれています。
• 家庭で調理する際は、丁寧な下処理が美味しさの鍵を握ります。
• 焼肉はもちろん、もつ鍋や炒め物など、様々な料理で楽しむことができます。

テッチャンについての理解が深まると、焼肉屋さんでの注文や、家庭での料理がより一層楽しくなるはずです。ぜひ、その独特の食感と濃厚な旨味を、様々な調理法で味わってみてください。