最近、焼肉ファンの間で注目を集めているのが「赤身肉」です。霜降りのとろける食感も素敵ですが、お肉本来の力強い味わいを楽しみたいという方が増えています。そんな赤身肉の中でも、特におすすめしたいのが「短角牛(たんかくぎゅう)」です。
短角牛は、日本に4種類しかいない和牛の一つで、非常に希少な存在です。噛めば噛むほど溢れ出す濃厚な旨みは、一度食べたら忘れられないほどの衝撃を与えてくれます。今回は、短角牛の赤身がなぜこれほどまでに美味しいのか、その理由を詳しく解説します。
この記事を読めば、焼肉店で短角牛を見つけたときに、より一層その味わいを堪能できるようになるはずです。健康志向の方や、お肉の質にこだわりたい方はぜひ最後までチェックしてみてください。それでは、短角牛の奥深い世界をご案内します。
短角牛の赤身が美味しい4つの理由と科学的な背景
短角牛の最大の魅力は、なんといってもその「赤身」に凝縮された旨みです。一般的な黒毛和牛が脂肪の甘みを楽しむものであるのに対し、短角牛はお肉そのものの味を噛みしめる喜びを教えてくれます。ここでは、なぜ短角牛の赤身が美味しいのかを4つの視点から紐解いていきましょう。
1. 噛むほどに溢れる濃厚な「旨み成分」の正体
短角牛を一口食べると、まず驚くのがその旨みの濃さです。この美味しさの正体は、肉の中に豊富に含まれる「アミノ酸」にあります。短角牛の赤身には、旨み成分であるグルタミン酸や、甘みを感じさせるアラニンといったアミノ酸が、他の牛に比べて非常に多く含まれていることが研究で明らかになっています。
お肉を噛みしめるたびに、これらの成分が口の中に広がり、深い余韻を残します。霜降り肉は脂が溶ける瞬間に美味しさを感じますが、短角牛は噛むという動作によって旨みが完成するお肉なのです。噛む回数が増えるほど味わいが増していくため、食事としての満足度が非常に高いのが特徴です。
また、イノシン酸などの核酸成分もバランスよく含まれており、これらが相乗効果を生んで美味しさを引き立てます。赤身肉なのにパサつきを感じにくく、しっとりとした質感とともに強烈な「肉感」を楽しめるのが、短角牛が食通たちに支持される大きな理由の一つと言えるでしょう。
2. 低脂肪でヘルシーなのに柔らかい絶妙な肉質
「赤身肉は硬い」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、短角牛はその常識を覆します。短角牛の肉質は、きめが細かく、赤身でありながらもしなやかな弾力を持っています。これは、後述する自然に近い飼育環境によって、健康的に筋肉が発達しているためです。
脂肪分が少ないため、たくさん食べても胃もたれしにくく、最後まで美味しく食べ進められるのが魅力です。脂っこいお肉が苦手になってきた世代の方や、トレーニング中でタンパク質を積極的に摂取したい方にとっても、短角牛はまさに理想的な食材といえます。ヘルシーでありながら、贅沢な満足感を得られるのです。
さらに、短角牛の脂は融点(脂が溶ける温度)が低いため、口の中でベタつくことがありません。赤身の中にわずかに含まれる上質な脂が、肉の繊維をほどよく解きほぐし、心地よい歯切れの良さを生み出しています。この「ヘルシーさと柔らかさの両立」こそが、短角牛ならではの個性です。
3. 自然豊かな放牧飼育が育む安全な品質
短角牛の美味しさを支えているのは、東北地方を中心に行われている「夏山冬里(なつやまふゆさと)」という伝統的な飼育方法です。春から秋にかけて、牛たちは広大な牧場に放牧され、新鮮な牧草をたっぷり食べて自由に走り回ります。この運動量の多さが、健康的な赤身肉を作り出す秘訣です。
太陽の光を浴び、自然の恵みを直接摂取して育つことで、牛の体内にはビタミンやミネラルが豊富に蓄えられます。また、ストレスの少ない環境で育つため、肉に雑味がなく、クリアで澄んだ味わいになります。私たちが食べるお肉の味は、牛がどのような環境で何を食べてきたかを如実に反映しているのです。
冬の間は里に降りて、地元の農家が丹精込めて作った飼料(稲わらやデントコーンなど)を食べて過ごします。こうした自然のサイクルに逆らわない育て方が、安心・安全で質の高いお肉を生み出します。生産者の顔が見えるような、誠実なプロセスを経て食卓に届く点も、美味しさを後押しする要素です。
4. 霜降り肉とは違う「肉本来の香り」の良さ
お肉の美味しさを決める要素として「香り」は欠かせません。短角牛の香りは、よく「ナッツのような芳醇な香り」や「野性味のある力強い香り」と表現されます。これは、放牧中に食べる牧草由来の成分が、肉の中に独特の風味を定着させるためです。
霜降り肉の香りがバターのような濃厚な甘さだとすれば、短角牛の香りは、より大地を感じさせる爽やかで奥深いものです。焼肉で火を通した瞬間に立ち上る香りは、食欲を激しく刺激します。この香りは脂の匂いに邪魔されることがないため、お肉そのものの風味をダイレクトに鼻へ抜ける感覚を楽しめます。
特に赤身をじっくりと焼き上げた際の香ばしさは格別です。メイラード反応(加熱によって糖とアミノ酸が反応し、香ばしさを生む現象)が起こりやすい赤身だからこそ、焼肉という調理法においてその真価を発揮します。一口ごとに広がる豊かな香りは、食事の時間をより優雅で贅沢なものに変えてくれるでしょう。
日本が誇る和種「日本短角種」とは何か
短角牛についてより深く知るために、その歴史や定義について確認しておきましょう。日本で「和牛」と呼べるのは4種類しかありませんが、短角牛はその中でも非常に珍しい存在です。黒毛和牛との違いを知ることで、焼肉店でのメニュー選びがさらに楽しくなります。
1. 黒毛和牛との決定的な違い
日本の和牛シェアの約9割以上は黒毛和牛です。そのため、私たちが「和牛=霜降り」というイメージを持つのも当然のことといえます。黒毛和牛は、筋肉の中に脂肪(サシ)を入れるように改良されてきた品種ですが、日本短角種は、あくまでも「赤身の美味しさ」と「体格の良さ」を重視して守られてきた品種です。
見た目からして大きく異なります。黒毛和牛が小柄で繊細な骨格を持つのに対し、短角牛はがっしりとした大きな体躯(たいく)を持ち、毛色は赤褐色です。また、黒毛和牛は舎飼(建物の中での飼育)が中心ですが、短角牛は放牧に適した性質を持っており、厳しい自然環境の中でも元気に育つたくましさがあります。
味わいの面では、黒毛和牛が「口の中で溶ける甘み」を追求するのに対し、短角牛は「噛みしめて味わう肉の力強さ」を追求しています。どちらが優れているということではなく、楽しみ方のベクトルが全く異なるのです。今日は脂の甘みを、明日は肉の旨みを、といった具合に気分で使い分けるのが通の楽しみ方です。
2. 岩手県を中心とした東北生まれの希少性
日本短角種のルーツは、江戸時代に東北地方で活躍していた「南部牛」にあります。当時は塩などを運ぶ「運び牛」として重宝されていました。明治時代に入り、この南部牛にイギリス原産の「ショートホーン種」を交配して誕生したのが、現在の日本短角種です。
主な産地は岩手県、青森県、秋田県、そして北海道です。特に岩手県は日本短角種の最大拠点として知られており、地域の文化や歴史と深く結びついています。しかし、その頭数は和牛全体の1%未満と言われるほど少なく、非常に希少価値が高い存在です。
限られた地域で、伝統的な手法を守りながら大切に育てられているため、どこでも食べられるわけではありません。もし焼肉店や精肉店で「短角牛」の文字を見かけたら、それはとてもラッキーなことだと言えます。東北の豊かな自然が育んだ「宝物」のようなお肉、それが短角牛なのです。
3. 夏山冬里方式(なつやまふゆさと)という伝統
先ほども少し触れましたが、短角牛を語る上で欠かせないのが「夏山冬里方式」です。これは、春から秋までは親子で広大な山に放牧し、冬は里の牛舎で過ごさせる飼育法です。この方式の素晴らしい点は、牛が牛らしく自然な姿で過ごせるということにあります。
山に放たれた牛たちは、傾斜のある地形で足腰を鍛え、自分の力で餌(牧草)を見つけて食べます。また、放牧期間中に自然交配が行われ、山でお産をすることもあります。こうした自立した生活が、余計な脂肪を落とし、筋肉内に旨み成分を蓄えるのです。まさに「健康な牛こそが美味しいお肉になる」を体現した育て方です。
この飼育法は、環境負荷が少ない「持続可能な畜産」としても近年注目されています。地域の未利用資源(山の草など)を食料に変える短角牛は、地球にも優しい存在です。私たちが短角牛を食べることは、こうした素晴らしい日本の伝統的な畜産文化を応援することにも繋がっています。
4. 希少価値が高い理由と流通の現状
なぜ短角牛はこれほどまでに頭数が少ないのでしょうか。その理由の一つは、成熟するまでに時間がかかることです。黒毛和牛に比べて成長スピードは速いものの、赤身の旨みを最大限に引き出すためには、適切な飼育期間が必要です。また、霜降り重視の市場評価の中では、赤身肉は長らく過小評価されてきた歴史もありました。
しかし、近年の健康志向や「赤身肉ブーム」により、その価値は再評価されています。一流シェフや料理研究家が短角牛を絶賛し、高級レストランや都心の専門店での取り扱いが増えています。とはいえ、放牧できる土地の広さには限りがあるため、爆発的に生産量を増やすことはできません。
そのため、現在は「予約困難な店」や「産地直送のオンラインショップ」などが主な流通経路となっています。流通量が少ないからこそ、品質管理が徹底されており、手に入れた際、あるいは口にした際の感動はひとしおです。「知る人ぞ知る極上肉」という立ち位置が、さらにその魅力を引き立てています。
赤身の美味しさを最大限に引き出す焼肉のコツ
せっかくの短角牛ですから、最高に美味しい状態で食べたいものです。赤身肉は、焼き方ひとつで味わいが劇的に変わります。ここでは、焼肉店やご自宅で短角牛を楽しむ際に意識したいポイントを詳しくお伝えします。
短角牛の焼肉を成功させる3つの鉄則
1. 冷蔵庫から出して常温に戻しておく(中心まで均一に火を通すため)
2. 強火で表面を素早く焼き、旨みを閉じ込める
3. 焼きすぎないこと(ミディアムレアがベストバランス)
1. 焼きすぎ厳禁!おすすめの焼き加減
短角牛の赤身を焼く際に、最も注意すべきなのは「火の通しすぎ」です。赤身肉はタンパク質が豊富なため、火を通しすぎると繊維が硬く締まってしまい、せっかくのジューシーさが失われてしまいます。目安としては、表面は香ばしく焼き色がつき、中はしっとりとした赤みが残る「ミディアムレア」を目指しましょう。
網の上に乗せたら、まずは片面をしっかりと焼き上げます。肉の側面を見て、下から3分の1程度まで色が変わってきたら裏返すサインです。裏面はサッと炙る程度で十分です。また、焼いた後にすぐ口に運ぶのではなく、数秒間お皿の上で休ませる(寝かせる)と、肉汁が全体に回り、さらに美味しくいただけます。
焼いている途中で肉を何度もひっくり返したり、網に押し付けたりするのは避けましょう。大切な肉汁を逃さないように、優しく見守るように焼くのがコツです。この丁寧なプロセスが、短角牛特有のしっとりとした柔らかさを生み出してくれます。
2. 塩や醤油など相性の良い調味料の選び方
濃厚な旨みを持つ短角牛には、シンプルな調味料がよく合います。まずは「塩」だけで食べてみてください。塩がお肉のアミノ酸を引き立て、ダイレクトに旨みを感じさせてくれます。できれば、角のないまろやかな天然塩や、岩塩を使うとより一層お肉の味が際立ちます。
次に試していただきたいのが「わさび醤油」です。短角牛の爽やかな香りとわさびの辛味は相性抜群で、後味をさっぱりとさせてくれます。また、赤身の味が濃いため、少し甘みのあるたまり醤油なども面白い組み合わせになります。市販の焼肉のタレを使う場合は、お肉の味を上書きしてしまわないよう、つけすぎに注意しましょう。
変わり種としては「ゆず胡椒」や「山椒」もおすすめです。和のスパイスは短角牛の持つ野性味のある風味を上手く引き立て、飽きずに何枚でも食べられるようになります。調味料はお肉の「伴奏者」です。主役である赤身の味をどう引き立たせるかを楽しみながら選んでみてください。
3. 厚切りと薄切りの食感の違いを楽しむ
短角牛は、カットの仕方によっても全く異なる表情を見せます。厚切りのステーキカットであれば、前述した「噛むほどに溢れる旨み」を最大限に体感できます。厚みがある分、外側のカリッとした食感と、中のジューシーな食感のコントラストが強調され、非常に贅沢な食べ応えになります。
一方で、薄切り(ロースやモモのスライス)にすると、口の中で肉の繊維がほろほろとほどけるような、繊細な柔らかさを楽しめます。薄切りの場合は、数秒ずつ両面を炙るだけの「焼きしゃぶ」スタイルが最適です。ポン酢とおろし大根でいただけば、短角牛の洗練された一面を発見できるでしょう。
どちらのカットでも共通して言えるのは、短角牛の肉質の良さが際立つということです。焼肉店では、ぜひ異なる厚みの部位を注文して、その食感のバリエーションを比較してみてください。お肉を「噛む」という行為が、これほどまでに楽しいものだと再認識できるはずです。
4. 合わせる飲み物で変わる味わいの奥行き
美味しいお肉には、美味しい飲み物が欠かせません。短角牛の赤身には、やはり赤ワインが定番です。重すぎないミディアムボディの赤ワイン、特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどは、赤身の鉄分や旨みと見事に調和します。ワインの酸味がお肉の脂を綺麗に流してくれるため、次の一口がさらに楽しみになります。
和食のルーツを持つ短角牛ですから、日本酒との相性も無視できません。特にお米の旨みがしっかりした純米酒は、赤身のアミノ酸と響き合います。ぬる燗にするとお肉の脂が心地よく溶け、驚くほどの一体感を感じられます。ビールを合わせるなら、少し苦味の効いたクラフトビール(IPAなど)が、肉の力強い味に負けずに楽しめます。
お酒を飲まない方であれば、黒烏龍茶やプーアル茶など、少し渋みのあるお茶がおすすめです。お口の中がリセットされ、短角牛の繊細な風味を最後までクリアに感じることができます。飲み物とのペアリングによって、短角牛の赤身が持つポテンシャルをさらに引き出してみましょう。
短角牛に含まれる栄養素と健康へのメリット
短角牛の赤身が美味しいのはもちろんですが、実は栄養面でも非常に優れています。「体に良いものを美味しく食べる」という現代の理想を叶えてくれるのが、このお肉のすごいところです。ここでは、知っておくと得をする栄養学的なメリットをご紹介します。
短角牛の赤身は、単なる食材を超えた「パワーフード」です。特に注目したいのは、脂肪燃焼成分やタンパク質の質の高さです。
1. 脂肪燃焼を助ける「L-カルニチン」が豊富
ダイエット中の方や健康意識の高い方にぜひ知ってほしいのが、短角牛に豊富に含まれる「L-カルニチン」という成分です。L-カルニチンは、体内の脂肪をエネルギーに変える際に必要不可欠なアミノ酸の一種です。牛、特に赤身肉に多く含まれていますが、短角牛はその含有量が非常に高いことで知られています。
一般的に、脂身の多いお肉を摂るとカロリーオーバーになりがちですが、短角牛の赤身であれば、良質なタンパク質を摂りながら、脂肪燃焼をサポートする成分まで摂取できるというわけです。まさに「食べて痩せやすい体を作る」のを助けてくれるお肉と言えるでしょう。
また、L-カルニチンは疲労回復にも効果があるとされています。激しい運動の後や、仕事で疲れが溜まっている時に短角牛を食べるのは、理にかなった選択です。美味しさを楽しみながらコンディションも整えられる、これこそが短角牛が選ばれる理由です。
2. 鉄分と良質なタンパク質で体を作る
女性に多い悩みである「鉄分不足」の解消にも、短角牛の赤身は一役買います。牛の赤身肉に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれ、野菜に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が格段に高いのが特徴です。貧血予防や血色の良い肌作りには、良質な赤身肉を定期的に摂取するのが近道です。
もちろん、タンパク質の質も一級品です。人間の体内で作ることができない「必須アミノ酸」をバランスよく含んでおり、筋肉や皮膚、髪の毛を作る材料となります。短角牛は筋肉質で健康的な育て方をされているため、その肉自体が生命力に溢れています。
ただお腹を満たすだけでなく、細胞一つ一つを元気にするような栄養が詰まっています。サプリメントに頼る前に、まずは旬の美味しい短角牛で栄養を補給する。そんな贅沢で健康的なライフスタイルを、短角牛の赤身は叶えてくれます。
3. 幸せホルモンを生むアミノ酸がたっぷり
美味しいものを食べたときに幸せな気持ちになるのは、脳内で「幸せホルモン(セロトニン)」が分泌されるからです。このセロトニンの材料となるのが、必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」です。短角牛の赤身には、このトリプトファンもしっかりと含まれています。
また、短角牛に豊富な「アラニン」というアミノ酸は、甘みを感じさせるだけでなく、アルコールの代謝を助けたり、免疫力を高めたりする働きがあると言われています。焼肉をお酒と一緒に楽しむ際にも、体がダメージを受けにくいようサポートしてくれる嬉しい成分です。
「美味しい」と感じる心の満足と、栄養が満たされる体の満足。この両方を同時に味わえるのが短角牛の魅力です。心身ともにリフレッシュできる食事として、短角牛の赤身はこれ以上ない選択肢と言えるでしょう。
4. ダイエット中や高齢者にもおすすめの理由
短角牛は、あらゆる世代の方にとってメリットのある食材です。特にダイエット中の方は、食事制限による筋肉量の低下を防ぐために、高タンパク・低脂質なお肉を摂る必要があります。短角牛の赤身は、カロリーを抑えつつ満足度を高められる、ダイエットの強い味方です。
また、噛む力が弱くなりがちな高齢者の方にとっても、実は短角牛はおすすめです。よく噛んで食べることは認知症予防にも繋がりますし、少ない量でもしっかりと栄養を補給できます。柔らかいだけの脂身は消化に負担がかかることもありますが、適度な弾力のある赤身は消化もスムーズです。
子供の成長、大人の健康維持、高齢者の活力向上。どのフェーズにおいても、「良質なお肉を少量でもしっかり食べる」という習慣は大切です。短角牛の赤身は、家族みんなが笑顔で健康になれる、そんな魔法のようなお肉なのです。
部位別!短角牛の赤身を味わい尽くすガイド
短角牛と一口に言っても、部位によってその味わいや食感は千差万別です。赤身が美味しい短角牛だからこそ、部位ごとの個性を知っておくと、焼肉がより一層奥深くなります。ここでは代表的な部位の特徴をまとめました。
| 部位 | 特徴 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| ランプ | 腰からお尻にかけての部位。キメが細かく非常に柔らかい。 | 厚切りステーキ、塩 |
| イチボ | お尻の先の部位。赤身の中に少しだけサシが入り、コクがある。 | わさび醤油、タレ |
| ミスジ | 肩甲骨の内側。赤身の旨みとゼラチン質のバランスが良い。 | 薄切りをサッと炙る |
| フィレ | 最も柔らかい希少部位。脂がほとんどなく、上品な味わい。 | 厚切りをレアで、岩塩 |
| シンシン | モモの中心部。弾力があり、赤身の味が最も濃い部位の一つ。 | 中火でじっくり、タレ |
1. 赤身の王道「モモ・ランプ」の濃厚さ
短角牛の魅力を最もストレートに感じたいなら、まずは「モモ」や「ランプ」を選んでください。これらは運動量が多い場所なので、赤身の旨みがぎっしりと詰まっています。特にランプは、モモの中でも最も柔らかい部位で、きめ細やかな肉質が楽しめます。
焼くとお肉の繊維からじわじわと肉汁が滲み出し、口に入れた瞬間に「これぞ肉!」という力強さが広がります。脂の重さが全くないので、100gや200gといった単位でもペロリと食べられてしまうのが不思議です。噛むことの喜びを教えてくれる、まさに短角牛のアイデンティティが詰まった部位です。
焼き加減はレアがおすすめ。表面にしっかり焼き目をつけて香ばしさを出し、中は美しいローズ色を保った状態で食べてみてください。塩だけで味わうと、肉本来が持つ甘みや旨みのグラデーションを感じることができます。
2. 旨みの塊「ウデ・ミスジ」の絶妙なバランス
「赤身が好きだけど、少しだけジューシーさも欲しい」という方には、肩の部位である「ウデ」や「ミスジ」がぴったりです。ミスジは、1頭から数キロしか取れない希少部位で、赤身の中に美しい筋が入っているのが特徴です。この筋の部分が加熱されるとトロリとした食感に変わり、独特のコクを生み出します。
ウデ(肩肉)は、旨み成分が非常に強く、濃厚な味わいを楽しめます。赤身の力強さと、筋由来の甘みが絶妙にミックスされた、短角牛の中でもリピーターの多い部位です。少し薄めにカットして、網の上で軽く泳がせるように焼くと、最高に美味しい状態になります。
ミスジは少し贅沢に、タレで食べるのも一興です。お肉の濃厚な旨みが、甘辛いタレと合わさることで、ご飯が止まらなくなるような中毒性のある美味しさに昇華します。「赤身の深み」と「脂のコク」のいいとこ取りを楽しみたい方は、迷わずこの部位を注文しましょう。
3. 希少部位「フィレ」の繊細な口溶け
牛の部位の中で最も動かさない場所である「フィレ(ヒレ)」は、短角牛においても別格の存在です。箸で切れるほどの柔らかさを持ちながら、黒毛和牛のフィレとは一線を画す「赤身のピュアな風味」が際立っています。脂がないのに、なぜこれほどまでにしっとりとしているのかと驚かされるはずです。
短角牛のフィレは、雑味が一切なく、非常にエレガントな味わいです。雑な焼き方をしてはもったいない、最高級の宝石のような部位です。強火で表面を瞬時に固め、中は予熱でじわじわと温めるようなイメージで焼き上げてください。一口食べた瞬間に、舌の上で解けていく感覚は、短角牛ならではの幸福な体験です。
味付けは控えめに。上質な塩を数粒、あるいは新鮮なわさびを少し乗せるだけで、十二分にそのポテンシャルを堪能できます。「赤身肉の最高到達点」とも言えるフィレは、特別な日の自分へのご褒美や、大切な方との食事に最適です。
4. 煮込みだけじゃない「スネ」を焼肉で楽しむ
一般的に、スネ肉は硬いため煮込み料理に使われることが多い部位です。しかし、品質の良い短角牛の場合、丁寧に下処理(筋引き)をして薄切りにすれば、焼肉としても非常に美味しくいただけます。スネ肉はコラーゲン(ゼラチン質)が豊富で、赤身の旨みが最も濃い部位の一つだからです。
焼くと独特のコリコリとした歯ごたえがあり、噛むほどに旨みが爆発します。いわば「噛むほどに味が出るスルメ」のような魅力があります。通の間では、あえてスネ肉を注文して、その噛み応えと濃厚なエキスを楽しむのが密かな楽しみ方とされています。
少し長めに火を通すと、コラーゲンが柔らかくなり、旨みがより活性化します。他の部位とは一線を画す「野生的な美味しさ」を感じたいなら、ぜひ挑戦してみてください。「部位の固定観念を覆す」ような体験が、短角牛のスネ肉には待っています。
まとめ:短角牛の赤身は美味しいだけじゃない魅力が満載
ここまで、短角牛の赤身がなぜ美味しいのか、その理由や栄養、楽しみ方について詳しく解説してきました。短角牛は、単なる高級食材という枠を超えて、日本の豊かな自然と伝統が育んだ「食の芸術品」とも言える存在です。
その魅力は以下の点に集約されます。
・アミノ酸たっぷりの濃厚な「旨み」
・健康的に育った牛ならではの「ヘルシーさ」
・自然な飼育環境がもたらす「芳醇な香り」
・噛むほどに満足感が高まる「肉本来の食感」
霜降り肉の甘みも素晴らしいものですが、お肉を「食べた!」という確かな実感を求めている方にとって、短角牛の赤身は最高の選択肢となります。また、脂肪燃焼を助けるL-カルニチンや豊富な鉄分など、体に嬉しい栄養素が詰まっているのも、現代人にとって大きなメリットです。
焼肉店で短角牛に出会ったら、まずは何もつけずに、あるいは塩だけでその深い味を確かめてみてください。きっと、今までの赤身肉のイメージがガラリと変わるはずです。東北の山々で元気に育った牛たちに感謝しながら、その極上の旨みを心ゆくまで堪能してくださいね。



