但馬牛と神戸牛の関係とは?最高峰ブランドのルーツと違いを解説

但馬牛と神戸牛の関係とは?最高峰ブランドのルーツと違いを解説
但馬牛と神戸牛の関係とは?最高峰ブランドのルーツと違いを解説
牛肉の種類とブランド牛

日本が世界に誇る「神戸牛」という名前は、焼肉好きならずとも一度は耳にしたことがあるはずです。しかし、その神戸牛が「但馬牛(たじまうし)」という牛から生まれていることは、意外と知られていないかもしれません。

但馬牛と神戸牛の関係は、実は切っても切れない深い絆で結ばれています。どちらも兵庫県を代表する最高級のブランド牛ですが、その成り立ちや定義には明確なルールが存在しているのです。

この記事では、焼肉をもっと楽しむために知っておきたい「但馬牛と神戸牛の関係」をわかりやすく紐解いていきます。ルーツから格付けの基準、そして味の違いまで、読めば納得の情報をお届けします。

但馬牛と神戸牛の関係性をシンプルに整理

但馬牛と神戸牛の関係を一言で表すと、但馬牛という大きなグループの中に、厳選された「神戸牛」というエリート集団が含まれているという形になります。すべての神戸牛は但馬牛ですが、すべての但馬牛が神戸牛になれるわけではありません。

神戸牛の正体は「選ばれた但馬牛」のこと

但馬牛は兵庫県産の黒毛和牛のことで、その中でも厳しい審査をクリアしたものだけが「神戸牛(神戸ビーフ)」という称号を与えられます。つまり、神戸牛は但馬牛という血統における最高位のブランドなのです。

兵庫県で生まれ育った但馬牛が、出荷される際の肉質審査によって、神戸牛になるか、あるいはそのまま但馬牛(たじまぎゅう)として流通するかが決まります。この関係は、よく「ピラミッドの頂点」に例えられます。

焼肉店で「但馬牛」と「神戸牛」が並んでいる場合、どちらも同じ血統の牛ではありますが、より厳しい基準をクリアして格付けが高いのが神戸牛であると理解しておくと間違いありません。

「うし」と「ぎゅう」の呼び方の違い

関係性を語る上で知っておきたいのが、但馬牛の読み方です。生きている牛の状態を指すときは「但馬牛(たじまうし)」、お肉として流通する状態を指すときは「但馬牛(たじまぎゅう)」と呼び分けられます。

一方、神戸牛は正式名称を「神戸ビーフ」や「神戸肉」といい、実は「神戸牛(こうべうし)」という生きている牛は存在しません。あくまで、但馬牛が厳しい基準をクリアしてお肉になった時に初めて「神戸牛」という名前がつくのです。

この呼び方の違いは、兵庫県の畜産農家さんが大切に守ってきた伝統と誇りの証でもあります。焼肉店のメニューを見る際に、この違いを意識してみると通な楽しみ方ができるかもしれません。

兵庫県産であることへの強いこだわり

但馬牛と神戸牛に共通する最大の特徴は、兵庫県産の純血を守り続けている点にあります。他の地域のブランド牛は、他県から子牛を仕入れて育てることも多いのですが、但馬牛は兵庫県内で生まれ、兵庫県内で育つことが絶対条件です。

この「閉鎖血統」と呼ばれる仕組みが、但馬牛特有の細やかな霜降り(サシ)や、強い旨味を生み出す要因となっています。兵庫県の豊かな自然と、長い歳月をかけて守られてきた血統こそが、神戸牛のブランドを支える土台なのです。

他のブランド牛とは一線を画すこの純粋さが、世界中の美食家を虜にする神戸ビーフの価値を高めています。関係性を知ることは、その希少価値を正しく理解することにも繋がります。

【豆知識】但馬牛と神戸牛の関係まとめ

・神戸牛は但馬牛の中から選ばれたエリート
・どちらも兵庫県産の純血種でなければならない
・肉質審査の結果によって名前が変わる

全ての始まりは「但馬牛(たじまうし)」にあり

但馬牛と神戸牛の関係を深く理解するためには、その源流である「但馬牛(たじまうし)」の歴史を知ることが欠かせません。但馬牛は、日本の和牛の歴史そのものと言っても過言ではないほど重要な存在です。

古くから但馬地方で愛されてきた使役牛

但馬牛は、現在の兵庫県北部にあたる但馬地方で、古くから農耕用や運搬用の「使役牛(しえきぎゅう)」として飼われてきました。山が深く、険しい地形が多い但馬地方では、足腰が強く小回りの利く牛が重宝されたのです。

長年にわたり、狭い地域の中で交配が繰り返されたことで、但馬牛独自の優れた資質が凝縮されていきました。その過程で、筋繊維が細かくなり、皮下脂肪が少なく、良質な「サシ」が入りやすい体質へと進化していったと考えられています。

明治時代以降、食肉文化が広まるとともに、その肉質の良さが注目されるようになりました。かつて田畑を耕していた牛が、今や世界最高峰の食材として評価されているのは、非常に興味深い歴史の変遷と言えます。

和牛の99%以上に但馬牛の血が流れている?

驚くべきことに、現在日本で流通している黒毛和牛のほとんどすべてに、但馬牛の血が流れています。これは、但馬牛の中に「田尻」号という非常に優れた種牛(しゅぎゅう)がいたためです。

田尻号の資質が極めて優秀だったため、全国各地のブランド牛の改良に但馬牛の血が導入されました。松阪牛や近江牛といった名だたるブランド牛も、元を辿れば但馬牛の子孫であることが多いのです。

まさに、但馬牛は現代の和牛の「ルーツ」であり、日本の牛肉文化を支えてきた存在です。この事実を知ると、但馬牛がいかに特別な存在であるかがより鮮明に伝わってきます。

徹底した血統管理と「閉鎖血統」の維持

兵庫県では、但馬牛の優れた血統を守るために、他県の牛と交配させない「閉鎖血統」という厳格な管理を続けています。これは全国でも兵庫県だけが行っている非常に珍しい取り組みです。

他県の血が混ざらないことで、但馬牛特有の「融点の低い脂」や「肉の香りの良さ」が純粋なまま受け継がれています。この一貫した姿勢が、神戸牛という世界最高レベルの品質を維持するための最大の武器となっています。

焼肉店で但馬牛を口にする際は、その一口に数百年の歴史と、血統を守り抜いてきた農家の方々の情熱が詰まっていることを感じてみてください。その背景を知ることで、美味しさはさらに深まるはずです。

但馬牛の血統は、兵庫県が発行する「牛籍図(ぎゅうせきず)」によって厳密に管理されており、先祖代々の家系をすべて遡ることができます。

神戸牛として認められるための「選ばれし基準」

但馬牛として生まれ育った牛が、すべて神戸牛になれるわけではありません。神戸牛を名乗るためには、出荷時に非常に厳しいハードルをクリアする必要があります。ここではその具体的な条件を見ていきましょう。

日本一厳しいと言われる認定基準

神戸牛(神戸ビーフ)の認定を行うのは「神戸肉流通推進協議会」という団体です。この協議会が定めた以下の条件をすべて満たしたものだけが、本物の神戸牛として認められます。

まず前提として、兵庫県産である「但馬牛」の血統であること、そして兵庫県内の指定された農家で肥育されていることが求められます。その上で、お肉の状態になった際に以下の数値基準をクリアしなければなりません。

【神戸牛の主な認定基準】

・霜降りの度合い(BMS)がNo.6以上であること(12段階評価)
・肉質等級が4等級または5等級であること
・枝肉重量が、去勢牛で270kg〜499.9kg、雌牛で230kg〜470kgであること
・歩留等級(お肉が取れる割合)がAまたはBランクであること

これらの数字は、日本各地にあるブランド牛の基準の中でも特に厳しいと言われています。特にBMS(脂肪交雑)がNo.6以上という基準は、平均的な牛ではなかなか到達できない高い壁です。

BMS値(霜降りの割合)が品質を左右する

焼肉の質を左右する「霜降り」の指標がBMSです。1から12までの段階があり、数字が大きいほど細かいサシが入っていることを示します。神戸牛はこのBMSが6以上であることが必須条件です。

さらに、BMS値によって呼び方が変わることもあります。BMSが10以上の最高ランクの神戸牛は、市場でもめったに出回らない究極の逸品とされ、驚くような高値で取引されることも珍しくありません。

神戸牛の認定基準は、単に脂が多いことだけでなく、お肉のキメの細かさや色合い、そして「歩留等級」という効率性まで厳しくチェックされます。この徹底した選別こそが、神戸牛ブランドの信頼を支えています。

雌牛と去勢牛に限定されたこだわり

神戸牛に選ばれるのは、子供を産んでいない「未経産の雌牛(めすうし)」か、雄牛を去勢した「去勢牛(きょせいぎゅう)」のどちらかのみです。これは、肉質を柔らかく保ち、旨味を最大限に引き出すためです。

特に雌牛は、脂の融点が去勢牛よりもさらに低く、口に入れた瞬間に溶けるような食感を楽しむことができます。最高級の焼肉店では、あえて「神戸牛の雌牛」にこだわって仕入れを行うこともあるほどです。

このように、血統、育ち、肉質の数値、そして性別に至るまで、何重ものフィルターをくぐり抜けた牛だけが「神戸牛」という栄誉を手にすることができるのです。但馬牛との関係は、まさに究極の選別によるものと言えます。

項目 但馬牛の基準 神戸牛の基準
血統 兵庫県産但馬牛 兵庫県産但馬牛
BMS(霜降り) 指定なし(全般) No.6以上
肉質等級 指定なし(全般) 4等級・5等級
枝肉重量 制限なし 厳格な上限・下限あり

味や食感はどう違う?焼肉で食べる時のポイント

但馬牛と神戸牛の関係がわかったところで、次に気になるのは実際の「味」の違いではないでしょうか。どちらも超一流のお肉ですが、焼肉で楽しむ際にはそれぞれの良さを知っておくと、より満足度が高まります。

但馬牛(たじまぎゅう)は肉本来の旨味が濃い

神戸牛の基準には届かなかった但馬牛や、あえて但馬牛として出荷されているお肉も、そのポテンシャルは極めて高いです。但馬牛の大きな特徴は、赤身部分に含まれる「旨味成分」の濃さにあります。

サシの入り方が控えめな個体であっても、噛みしめるほどに肉の味が広がり、野生味のある力強い美味しさを感じることができます。脂っこすぎるのが苦手な方にとっては、むしろ但馬牛の方が好みだというケースも少なくありません。

焼肉で食べるなら、但馬牛の赤身系部位(ロースやモモ)をタレでさっと焼いて、お米と一緒に頬張るのが最高のご褒美です。血統の良さは、赤身の美味しさにこそ顕著に現れます。

神戸牛は「脂の甘みと融点」が別格

一方、厳しい基準をクリアした神戸牛は、何と言っても「脂の質」が最大の魅力です。神戸牛の脂には、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、非常に融点が低いのが特徴です。

人の体温で溶けてしまうほど脂が軽いため、口に入れた瞬間にふわっととろけるような魔法のような食感を味わえます。その脂は決してしつこくなく、上品な甘みとナッツのような香ばしさが鼻を抜けます。

神戸牛を焼肉で楽しむなら、サシの入ったカルビやサーロインがおすすめです。味付けはシンプルに塩やわさび醤油で、お肉自体の脂の甘みを引き立てて食べるのが一番の贅沢と言えるでしょう。

焼き方のコツ:レア気味で脂を活性化させる

但馬牛も神戸牛も、焼きすぎには注意が必要です。特に脂の融点が低い神戸牛は、火を通しすぎるとせっかくの良質な脂がすべて流れ出してしまい、お肉が硬くなってしまいます。

強火で表面をさっと炙り、脂が透明になって浮き出してきた頃が食べ頃です。中まで完全に火を通すのではなく、中心部はレアからミディアムレア程度に仕上げることで、とろける食感を損なわずに楽しめます。

最高のお肉には、最高の間合いで向き合う。焼肉店でこれらのブランド牛を注文した際は、網の上での変化をじっと見守り、最高の一瞬を逃さないようにしてください。それが、命をいただいた牛への最大の敬意でもあります。

【焼肉での楽しみ方まとめ】

・但馬牛は赤身の旨味を噛みしめるのがおすすめ
・神戸牛は脂のとろける甘みを堪能するのがおすすめ
・どちらも「焼きすぎ厳禁」が鉄則

但馬牛は他の有名ブランド牛のルーツでもある

但馬牛と神戸牛の関係を知る上で興味深いのは、その影響力が兵庫県内にとどまらないという点です。但馬牛は「和牛の素牛(もとうし)」として、日本全国のブランド牛の発展に大きく貢献してきました。

松阪牛や近江牛とも親戚関係?

日本三大和牛として数えられる「松阪牛」や「近江牛」。これらも実は、但馬牛と深い関係があります。実は、但馬地方で生まれた子牛(但馬牛)が、それぞれの地域に連れて行かれ、そこで大切に育てられることで、松阪牛や近江牛になります。

かつては「但馬で生まれ、各地で育つ」というのが、高品質なブランド牛を作るための鉄則でした。つまり、名前は違えど、その根底にある素晴らしい肉質は、但馬牛の血統によるものなのです。

このため、松阪牛を食べて「美味しい」と感じたそのルーツも、実は但馬牛にあると言えます。兵庫県が守ってきた血統がいかに優れているかが、他県のブランド牛の活躍からも証明されています。

「田尻号」という伝説の種牛の存在

ここで、和牛界の伝説となっている一頭の牛を紹介します。それが但馬牛の「田尻」号です。1939年に現在の香美町で生まれたこの牛は、そのあまりにも優れた資質から、子孫が全国へ広がりました。

現在、日本全国で活躍している黒毛和牛の種牛のほぼ100%に、この田尻号の血が入っているとされています。まさに、現代の焼肉で食べているお肉の美味しさは、この一頭の但馬牛から始まっていると言っても過言ではありません。

但馬牛は、神戸牛という最高峰のブランドを生み出しただけでなく、日本の牛肉そのものを美味しくした「偉大なる母」のような存在なのです。このスケールの大きな関係性を知ると、但馬牛を見る目が変わるのではないでしょうか。

世界が注目する但馬牛のポテンシャル

近年では、海外でも「WAGYU」の人気が高まっていますが、その中でも「Tajima」や「Kobe」という言葉は特別な響きを持っています。世界中の生産者が但馬牛の血統を手に入れたいと切望しているのです。

しかし、兵庫県が閉鎖血統として守り抜いているため、本当の意味での但馬牛・神戸牛は兵庫県でしか生産できません。この希少性が、さらなるブランド価値の向上に繋がっています。

世界を魅了する日本の宝、その中心にあるのが但馬牛です。焼肉店でこの歴史的な価値を感じながら、至福の一時を過ごす。それは、ただ食べるだけではない、文化を味わう体験と言えるでしょう。

世界中の美食家が死ぬまでに一度は食べたいと願う「Kobe Beef」の輝きの裏には、但馬牛という強固な土台が存在しています。

但馬牛と神戸牛の関係まとめ|正しく知って極上の焼肉を楽しもう

SUMMARY
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ここまで、但馬牛と神戸牛の関係について詳しく解説してきました。この記事のポイントを最後にもう一度整理しておきましょう。

まず、すべての神戸牛は兵庫県産の「但馬牛」から生まれているという点です。但馬牛という血統の中で、肉質審査という非常に厳しい関門を突破したエリートだけが、神戸牛としての称号を手にすることができます。

次に、その選定基準の厳しさです。BMS(霜降り)の値や肉質等級、重量制限など、日本一とも言われる高いハードルがあるからこそ、神戸牛は世界的なブランドとしての地位を不動のものにしています。

また、味の違いについても触れました。但馬牛は赤身の濃厚な旨味が魅力であり、神戸牛は口の中でとろける甘い脂が特徴です。どちらも甲乙つけがたい美味しさがあり、焼肉ではその両方の良さを楽しむことができます。

さらに、但馬牛が日本の和牛のほとんどすべてのルーツであるという事実。私たちが普段口にする美味しい和牛の背景には、兵庫県が守り続けてきた但馬牛の血統があるのです。

次にお店で但馬牛や神戸牛を注文する際は、ぜひこの奥深い関係性を思い出してみてください。お肉のルーツや、厳しい基準をクリアしてきた背景を知ることで、目の前の一切れがより一層、価値あるものに感じられるはずです。

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